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Top > Dialog > 【前編】共感できる仲間とやるのが一番いい|亀田和彦 Synaptic Designs Inc.

共感できる仲間とやるのが一番いい
亀田和彦 Synaptic Designs Inc.【前編】

Dialog No.01

Synaptic Designs Inc.

KAMEDA
KAZUHIKO

Synaptic Designs Inc.
代表取締役 / クリエイティブプロデューサー
亀田和彦

Prism Co., Ltd.

SHINTANI
NOBUYUKI

株式会社プリズム
代表取締役社長
新谷暢之

OVERVIEW

Dialogの記念すべき第1回は、プリズムのこれまでを語る上で欠かすことのできない、新谷代表の盟友、クリエイティブプロデューサーの亀田和彦さんをお招きしました。現在のプリズムの特色となっているチャレンジするカルチャー。それが生まれるきっかけとなったプロジェクトを中心に、共に歴史を振り返っていただきました。

後編はこちら

プリズムとの出会い:六本木アートナイト

新谷:

Synaptic Designs/代表取締役 クリエイティブプロデューサーの亀田和彦さんです。どうぞよろしくお願いします。

亀田:

よろしくお願いします。

新谷:

改まって堅い紹介をしましたけれども、普段「亀ちゃん」と呼んでいる間柄なんで亀ちゃんでいきますね。まずは亀ちゃん、自己紹介をお願いします。

亀田:

はい、亀田和彦です。プロデュースをメインでやらせていただいてます。広告会社、CMの制作会社からキャリアをはじめて、その後、ビジュアルデザインスタジオ「WOW」に入りました。WOWではクリエイティブと最先端テクノロジーを組み合わせて時代を切り拓くような新たな表現を創出することにチャレンジしていました。WOW卒業後に独立してSynaptic Designsを立ち上げました。様々な才能を孵化させたり、技術やビジネスを付加して価値を創出することにプロデュースの価値があるんじゃないかなと感じて活動しています。クリエイティブとテクノロジーをどう社会に還元していくかということです。それで、今はアーティストや建築家、プロダクトデザイナーなど様々な方の才能、やりたいことを伺い、ほかの才能との関係性をデザインしたり、事業化するためのネットワークの構築、実際にそれを立ち上げるときのきっかけづくりから、ビジネスの組み立てみたいなことまでをプロデュースさせていただいています。

新谷:

ありがとうございます。僕らが知り合ったのはたしか2010年の六本木アートナイトで、亀ちゃんがWOWさんにいた時代ですね。

亀田:

そうです。

新谷:

Roofscape」というインスタレーションにプリズムは技術として参加しました。

亀田:

あの頃は海外でようやくプロジェクションマッピングが話題になったくらいで、WOWでもやったことがなかったんですよね。まして野外だったので、とてもチャレンジングなプロジェクトでしたね。ちょうど技術面のサポートを誰にお願いしたらいいか悩んでいる時に、知人の紹介でプリズムさんと出会ったんですよね。

Roofscape Roppongi Art Night at Tokyo Midtown (2010) Planning / Direction / Production : WOW Music Composer : Masato Hatanaka Object Works : Hirofumi Ohno, Yuji Nakae Technical Supports : PRISM Co.,Ltd Supports : SEIKO EPSON Corporation, YAMAHA Corporation
新谷:

丸い形に複数のプロジェクションでひとつの画(え)をつくるのはなかなか大変で、当時は今もご一緒しているオリハルコンテクノロジーズさんの技術をお借りしてやった記憶です。

亀田:

ミッドタウンの大屋根の下に柱が3本立っていて、その柱がつくる三角形の中心、本来はただの平面の場所に、まるでそこに元からあったかのような高さ7.5mの円柱を立てて映像を流す。考えたはいいけれど、そもそもそんなことやったことないから、技術的にやれるのか?と。

新谷:

(笑)でも演出上では、もうある程度、画は完成してたんですよね。

亀田:

CG上では(笑)

新谷:

その円柱も、トレーラーで鉄の巨大な菅が何本か運ばれてきて衝撃でした。普通なら、現場で作るものなので。規模感に驚きました。

亀田:

誰に相談したらいいか本当にわからず、機材屋さんに相談しても「いや、それはちょっと…」みたいな感じで、あまり相手にしてもらえなくて。悩んでいたところで、プリズムさんに出会ったんです。あの当時は機材が飛躍的に成長を遂げた時代だと思っていて、それまで出来なかったことが色々とやれるようになってきた。プロジェクターも小型で高出力のものになっていって、でもそれを使える人たちがまだいなかった。

新谷:

たしかに、いわゆるホテルや展示会場、コンサートホール等で決められた画を出すみたいなお仕事は多かったんですが、機材を特殊な形で使うアート的プロジェクトに参加したのは、当時プリズムとしても初めての経験でした。機材をずっと野外に置いておくなんてこともそんなに経験ないですし、不安しかなくて。どうすれば成立するのかをとにかく話していましたね。商業施設なので機材を設置できる場所も制限がすごくて。でも、出来上がった作品を見たときにめちゃくちゃ感動して、可能性を感じました。

亀田:

なんだかんだで10日間、2週間ぐらい展示しましたね。
WOWも、あの時期はただ映像を作るだけの会社だったんです。やったことない事だらけでとても苦労したし、先も見えなくて本当に実現できるのかという手探りの状態だったんですけど、そこにプリズムさんが持っている”技術”が加わった。もしかしたらその当時は、技術でいうと他社さんと比べても変わらなかったのかもしれないですけど、一番大事だったのは「よし、じゃあ一緒にやってみよう」と、とにかく付き合ってくれたことなんですよね。

新谷:

プリズムとしても他ではない取り組みをずっとやりたかったんです。今までやったことがないアートプロジェクトは限りない挑戦でした。事前準備の段階から一体感を感じていて、色々と研究や実験、テストを重ねて、プロジェクトが完成したときには、すごい心が通じ合った感じがして。
それから様々なプロジェクトを繰り返していくことで、プリズムのメンバーも経験値や技術力が向上して、可能性の広がりを感じましたね。

亀田:

その当時は機材屋さんに相談すると、既存の枠組みの中にハマった仕事だったらやりますけどそれ以上はできないという回答だったんです。ブレイクスルーがなくて、諦める直前までいってたんですよね。でもプリズムさんと出会って、そこに付き合ってくれる人がいることで、僕らの創造が具現化できるのがわかった。創造しても具現化できなかったら意味がないけれど、一緒ならできるんだってわかったんですよね。それまではイマジネーションの限界をどこかで勝手に設けちゃってたところもあったかもしれないです。でも、だんだんとプリズムさんなら実現してくれるんじゃないかという想いに変わっていって、それが積み重なって、プリズムさんとの関係が深まっていったんじゃないか、と思います。

新谷:

基礎の企画を見せてもらった段階で「できないことはないな、でもやったことないからやってみるしかない」みたいな。着地にもっていく方法をディスカッションして、落としこんでいける感覚はありました。

亀田:

その感覚を持ち合わせているかどうかが、その会社のカルチャーだと思うんですよ。一緒に楽しんでくれることも僕らにとっては価値なんです。

新谷:

たしかに、できるかできないかギリギリのラインのなかで、それぞれの経験やキャパシティはあるけれど、やってみると意外とできたねってなったりすると楽しいですよね。プロジェクトを進行しているときは互いにぶつかることもあるけれど、完成した時の達成感や一体感は計り知れない。それこそが仕事においてすごく重要なことなのかなと感じます。

亀田:

普通に仕事していると、言われたことだけ、タスクを片付けるだけなんてこともあったりして、それはそれで達成感はあるのかもしれないですけど、自分で考えたことが具現化されるってもっと大きな喜びにつながると思うんです。その喜びを共有できる仲間であり心強いパートナーができた。僕らからすると、また新たなチャレンジにつながるすごい大きな価値だったと思いますね。
その後も、様々なインスタレーションやファッションショー、国内外の展示などたくさんのプロジェクトでご一緒させていただきました。

Roofscape Roppongi Art Night at Tokyo Midtown (2010) | Planning / Direction / Production : WOW | Music Composer : Masato Hatanaka | Object Works : Hirofumi Ohno, Yuji Nakae | Technical Supports : PRISM Co.,Ltd | Supports : SEIKO EPSON Corporation, YAMAHA Corporation

お互いの印象

新谷:

当時は仕事が楽しくて、そこに機材をこうやって使いたい、こんな表現したいってご相談を頂いて、全く経営とかも考えてないからとにかく面白いものはやるみたいな感じでしたね(笑)
でも、すぐにビジネスにならないことも多かったけれど、その先でちゃんと仕事が繋がっていって、最終的に良い結果になっているんですよね。

亀田:

そうですよね。勿論、ビジネスとして長生きするためにはマネタイズは大事です。だけど、それと並行して、未来を見ながらビジネスに片足を置いておかないと遠くには行けないという気がするんですよね。そういう感覚を新谷さんとは共有できるところも、とてもやりやすい。

新谷:

そう。それが結構深かった。印象的なのは雪まつりですね。

関係性の変化、きっかけの雪まつりについて

亀田:

そうですね。

新谷:

当時の雪まつりは大雪像に照明と音、レーザー等で演出があって、それでこれだけ躍動的なものを作れるのだから、プロジェクターで映像を写したら、もっともっと効果的に見れるコンテンツになるんじゃないの?って話を会長としていて。その雪祭りはたしか、第63回だったかな。ただ、全く予算が降りないだろうということで、「予算度外視してでも許可さえいただければ、プリズムで突っ込んでやってみません?」と会長に交渉して、翌年やることになったんです。

亀田:

誰からも頼まれてないけど、これやったら絶対面白いよねっていうことを思いついたんですね。

新谷:

そうなんだけど、はじめてみるとそれが大変で。プロジェクションするから暗くしてくれと言ったら、通路は暗くできないのでその通路側の明かりをまず作ってくれという話になって、こっちで全部明かりを作るという(笑)

亀田:

なんか電球外すとかやってましたよね(笑)

新谷:

インフラも含め全てやらなければいけなくなって。でも、それはいいきっかけで、ハードを主軸に自分たちで全体的な演出ができるというのは、すごくチャンスだったんですよね。それで、プロジェクションの許可をいただいてやることになったのが、何周年かの記念雪像。ミッキーマウスだったので、本体は動かせないんですけど背景をやらせて頂きました。当時はSNSがそこまで普及していなかったんですけど、お客さんからのリアクションが良くて高評価を頂けたという話で、翌年から予算がつきました。
そこでぜひ亀田さんに映像をプロデュースしてもらいたいと。

亀田:

札幌にある豊平館の建物を大雪像にしたときですよね。

新谷:

本物が修復中だったんです。

亀田:

横幅34mで、高さも5〜6mぐらいあるので非常に大きくて。その頃、技術的にもようやく1万とか2万ルーメンのプロジェクターを何台かスタックして流すことができるようになっていて、巨大な雪像でも映像を流すことができたんですよね。

新谷:

雪像は立体物なので、入口部分の張り出しとかは囲むようにプロジェクションが必要だったりしましたね。

亀田:

その一箇所だけで全部で3台くらいのプロジェクターを使って映像を打ちましたね。
屋根が少し円盤みたいな形をしてたので、その屋根の部分をUFO(円盤)に見立てて、UFOに乗ったシロクマたちが空に飛んでいくという演出を考えたんです。うまく表現するにはプロジェクションの打ち方や台数が重要だったんですけど、プリズムさんは、実現したい表現や演出の相談を密にしてくださって、細かい部分までアイディアをいただいて実現しました。

"豊平館—白熊の親子の物語”さっぽろ雪まつり(2013) | Planning / Direction / Production : WOW | Technical Supports: PRISM Co.,Ltd | Music Composer: Masato Hatanaka
新谷:

亀ちゃんがクライアントからパートナーという認識に変わったのはその辺りですね。今までは受注者と発注者だった関係を、パートナーとしてプロジェクトを動かしていくという感覚に変わった。プリズムにとっては、そこが現在につながるスタートのタイミングだったと思うんです。
プロジェクションマッピングでは、あそこまでストーリー展開したものって、当時なかなか見ませんでしたね。3分半から4分くらいの壮大なストーリーでした。

亀田:

そうなんです、今でもあそこまで壮大なものはあまりないんですよ、意外と。自画自賛じゃないですけどね。

新谷:

そうなんです。プロジェクションマッピングが流行って、いろんな場所で開催されていますけど、物語になっているのはなかなかないんですよね。

亀田:

豊平館の物語は3部構成になっていて、第1部は、シロクマたちが建物を建てる映像、第2部では光の線と窓が出て影が動くプロジェクションマッピング。でも、それで終わっちゃうと普通になっちゃうから、最後は円盤に乗った白熊たちの背景に札幌の街並み、景色が流れていくマッピングならではの表現で新しいストーリーを表現してみたんです。ちょうど円山動物園でシロクマの双子が生まれたタイミングだったのもあって。技術チームとクリエイターが一緒に開発していって実現することができたのは、豊平館での作品が初めてだった気がします。

新谷:

実際話題になって、すごい集客に繋がりました。

"豊平館—白熊の親子の物語”さっぽろ雪まつり(2013) | Planning / Direction / Production : WOW | Technical Supports: PRISM Co.,Ltd | Music Composer: Masato Hatanaka
亀田:

でも少し問題になりましたよね。

新谷:

そうなんですよ。警察から指導が入って、最後の3日間はクローズになって。

亀田:

前年までが160〜180万人くらいだった入場者数が、一気に200万人超したんですよね。マッピングの影響も結構大きかったようで、NHKが取材に来て全国放送されて相当話題になったし。

新谷:

豊平館での作品に携わったことによって、地方の観光創生に貢献できるんだということを実感しましたね。

亀田:

豊平館の作品をきっかけに、プロジェクションマッピングで集客ができる、つまりプロモーション効果があると知った他の地方や企業がビジネスとして注目していったというわけですね。
雪まつり自体のバリューもどんどん上がっていって、我々がやったチャレンジが新たなものを生み出すきっかけになったのは素晴らしいことですよね。

新谷:

その後は札幌雪祭り大通会場の定番になって、ほぼほぼ全部プロジェクションみたいになりましたよね。

亀田:

たしかに。

新谷:

雪まつりで僕らの技術が飛躍的に進化を遂げたのも事実です。
雪像って、雪が降ったら輪郭が変わり、暖かくなったら溶けてまた形が変わり、そもそも重いので毎日数十センチ沈んでいく。毎日の変化に対応して映写位置を調整していかなければならない。

亀田:

お客さんが帰った後、毎晩プロジェクターでマッピングの調整をしていましたね。

新谷:

あの寒さで毎日寝ずに調整しなきゃいけないから、プリズムの技術チームが「今年は誰が行くの?」みたいな空気になってね(笑)

亀田:

最初の頃はプロジェクターをずらしたりとか、アナログにやっていたのが、だんだんオリハルコンテクノロジーズの高幣さんのお力も借りて、プログラミング上でマッピング調整ができるようになったんですよね。

新谷:

そう。みんなを早く帰してあげたいから、早く調整できるプログラムを開発しましょうということで共同で作業していただいたんですよ。

亀田:

雪まつりの寒さのおかげで、技術が極めて進んだ(笑)

新谷:

毎日毎晩のことですからね。本当に速くなった。

亀田:

結構過酷な環境だったから覚えているんですけど、最初のころはずっと夜中お付き合いして、3、4時間くらい寒い中ずっと立っていたんですよね。それが、数年前に担当させて頂いた時に、30〜40分位遅れて行ったらもう終わりますよって言われて(笑)技術の進化の速さに驚きました。

"豊平館—白熊の親子の物語”さっぽろ雪まつり(2013) | Planning / Direction / Production : WOW | Technical Supports: PRISM Co.,Ltd | Music Composer: Masato Hatanaka
新谷:

日本では法律的な問題もあって屋外での制限などが厳しいので、さらなる成長を目指してモンゴルに会社「フレーエンターテイメント」を作りました。総合的にエンターテイメントを作っていくチャレンジは雪祭りにも通じるところがあります。

亀田:

極寒のモンゴルで(笑)

新谷:

-40°くらいになるときもあるので、冬にどう挑戦するかももちろん検証しています。ここ数年自分たちでもずっと挑戦しているんです。
総合的に演出がまとまっていないと伝わるものも伝わらないので、プリズムで内製できないクリエーションは、パートナー会社やたくさんの方にご協力いただきながら、これからもチームとして一緒に考えてやっていきたいと思ってます。

CONCLUSION

前半はここまでです。
後半は引き続き亀田さんと昨今の技術の進歩や今後のチャレンジについて語ります。

後編はこちら

THE FRIEND

Synaptic Designs Inc.
CEO / Creative Producer

KAMEDA KAZUHIKO

Synaptic Designs Inc.
代表取締役 / クリエイティブプロデューサー
亀田和彦

HISTORY

CM制作プロダクションでの勤務後、東京・仙台・ロンドン・サンフランシスコをベースにするVisual Design Studio “WOW”に参画。マス広告、常設やイベントでの空間演出から、様々なプロダクトのユーザーインタフェイスやハードウェアの先行研究開発まで、多岐に渡る分野のコミュニケーションデザインを国内外にて手がける。
その後2013年4月にクリエイティブとテクノロジーとビジネスの融合を目指したビジネスインキュベーションの会社、Synaptic Designs Inc.を設立。
世の中の問題解決を目指した新たな事業の立ち上げや、新たなチャレンジを目指すパートナーの想いを具現化するハブとして活動を続けている。

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