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Top > Dialog > 【後編】リスクをとりながら攻め続ける|高橋裕士 WOW inc.

リスクをとりながら攻め続ける
高橋裕士 WOW inc.【後編】

Dialog No.02

WOW inc.

TAKAHASHI
HIROSHI

WOW inc.
代表 / エグゼクティブプロデューサー
高橋裕士

Prism Co., Ltd.

SHINTANI
NOBUYUKI

株式会社プリズム
代表取締役社長
新谷暢之

OVERVIEW

Dialog第2弾は、プリズムで技術協力させていただいた記念展『WOW 25th Anniversary Exhibition「Unlearning the Visuals」』の開催が記憶に新しい、ビジュアルデザインスタジオ WOW 高橋社長との対談です。

前編はこちら

チャレンジャー新谷

高橋:

俺、新ちゃんのいいなと思うところは、やあ〜、モンゴル行ってみたら、開けていられない期間が長くてやばいんですって言ってて。そんなのやる前からわかるんじゃないかなと思うんだけど(笑)意外とチャレンジャーですよね。
チャレンジしてるな〜っていうのは、経営者層から見ててもすごくあったかく感じていて。

新谷:

ありがとうございます(笑)

高橋:

いや、そこは詰めていかないんだ、と。

新谷:

何ですかね、計画性が無いんですよ。

高橋:

無いかもね。面白いと思います。

新谷:

ありがたいことに僕の周りを取り巻く人たちの、人間力で解決するものが結構多いんですよね。

高橋:

それはあるよね。新ちゃんの場合は。それ凄いと思う。

新谷:

だからすごい感謝しかないんですよ。でも本当、会社の経営もそうですけど、だめだだめだって窮地になった時に何かが降りてくるんですよ。

高橋:

それ何か、すごいものを持ってるんでしょうね。

新谷:

たまたま引いたやつが当たりだったとか。

高橋:

大体たまに会うと、だめだっていう時と、フラフラっていなくなる時と(笑)

新谷:

ええ(笑)

高橋:

逃避癖があるか知らないけど、そうやって事業を色々とやられてるところが、新ちゃんの人間味というかあったかみだなと。それで-30°も乗り越えられているのがすごいなって思って。だって北海道に居たらわかるじゃないですか、普通に考えたらね。

新谷:

北海道そこまで寒くないですからね(笑)

気になってしまう新谷

高橋:

雪まつりの話も、雪が溶けるぞみたいなこと言ってましたけど。ちょっと面白いなと思って。当たり前じゃん(笑)雪は光はとけるじゃんっていう(笑)それを維持するのも大変だってわかるのに。意外とチャレンジャーですよね。

新谷:

でもこう、街歩いて見てて、これもうちょっとこうしたらいいのにな、っていうところって気になりません?

高橋:

街歩いてて?

新谷:

エンタメ見たり体験する中で、例えばショッピングモールとか商業施設もそうですけど、これもうちょっとこうしたほうがいいのにな、って気になんないですか?

高橋:

あんまり考えてないかな。

新谷:

僕そういうのばっかり気にしてんですよ。

高橋:

大変ですね…。

新谷:

もったいない!とか(笑)

高橋:

忙しいね。

新谷:

気になっちゃって。気になって、いけそうだなと思ったら突入しちゃうんですよ。

高橋:

あーまたチャレンジャーですね。

新谷:

今どうやってやられてるんですか?とか聞いてみようと思って。

高橋:

あー聞いちゃうんだ。

新谷:

聞いちゃうんですよ、僕。変なおじさんが話しかけてきたように思われるんですよね。お店突入だけじゃなく、調べて会社に問い合わせするのもありました。仕事としてもうちょっとやったほうができることがあるんじゃないかな、と思うことは勝手に良くしようみたいなところがあるんですよね。

コロナによる辛抱と戦争

高橋:

コロナ渦でイベントが結構止まったり、キャンセルになって大変だったけれど、どうやって乗り切ったんですか?

新谷:

どうですかね。簡単に言うと辛抱じゃないですか。

高橋:

辛抱?辛抱(笑)

新谷:

僕らってやっぱ、プリズムなんか特にそうですけど人が集まる仕事がメインだから、仕事がなくなったわけですよね。それ以外のことやってなかったんですもん。

高橋:

まあそうか。

新谷:

そう、全部が人が集まる場所に何かをする仕事だったから0なんですよ。それで、うちの専務やってもらってる今78歳、9歳だったかな。おじいちゃんがいて、その人に聞いたんですよ。

高橋:

79歳。それも結構チャレンジャーですね。

新谷:

元銀行出身で。お金のことは僕分からないので全部まとめていただいているんですけど。70年以上生きてきてこんなことありました?って。そしたら、もう戦争以外ないって言ったんですよ。

高橋:

戦争と比べられたの(笑)

新谷:

震災やリーマンショックがあったり、経済上の色々な停止期間ってあったじゃないですか。でも、こんな長い期間全世界でビジネスが停止する現象なんて、もう戦争以外無いって言われたんですよ。

高橋:

なるほど。じゃあプリズムにとっては戦争級の。

新谷:

戦争級だったんですよね。うちにはリモートでやる仕事がないので。

高橋:

ですよね(笑)電源差しにいかないといけない。

新谷:

そう(笑)物理的な仕事だから。でも1ヶ月か2ヶ月ぐらいかな?出社やめましょうってしたんですよ。テレワークで週1回オンラインでみんなミーティングをしてみたんですけど、みんなからノイローゼになりそうなんで、会社に行かせてくださいって。今この機会にできることがあると。普段は現場で忙しいから、実験や、機材のチェック、自分のトレーニングしたり、メンテナンス、整理とかいろいろやりたいことがあるとみんなから聞いたんです。会社出ていいですか?って話になったので了承したらほぼみんな居たという。

高橋:

いたんだ(笑)みんな居たってすごいですね。でも、戦争級のコロナ。新谷社長「辛抱」って片付けるっていうところがね。辛抱で耐えられるんですかね。すごいですね。

新谷:

まあ、生きてるか死んでるかというと、まだ生きてるんで。生きれるっていうことですよね。

高橋:

極端なんだよね、例えが。もう戦争だからね。戦争だから生きるか死ぬかっていう発想で言うと。まぁ、辛抱ね。

新谷:

って考えると、社員の皆さんもそうですけど、なんか本当に人に支えられるから、みんな集まってここまでやるんだったらなんとかやれることあるんじゃないか。だから今はもう辛抱しかないなって。

高橋:

辛抱からの目覚めみたいなのはなんかあったんですか?

新谷:

辛抱からの目覚めはもうあれじゃないですかね…
終わりが見えなかったじゃないですか。みんないつ終わるんだろう、2波、3波、4波、5波…いつ終わるのみたいな。いつ戻ってくるか見えないとなると、生きてるのか死んでるのかわからないような状態に精神的に一時的にはなってたんですよ。なったんですけど、すごい生き生きしている人たちが僕の周りにいてくれているんです。生き生きしている若者がいるということは、なにかまた新しいものが生まれるであろう、そのために今をつながなくてはならないし出来る限りのことをやって、次また光が差し込んできた時にプリズムは輝くと気づいてやってこれました。

高橋:

なるほど。そこでプリズム出ましたね。

プリズムの新ロゴ

高橋:

プリズムのロゴが変わりましたよね。ポップな、現代的な。若者に受け入れられたいという気持ちも持っている感じなんですかね?

新谷:

そうです、そうです。受け入れられたいというか、もうちょっとキャッチーなものにしたいという想いがあって。ハード屋さんだから前のロゴはどうしても硬い感じになっていたんです。昔のロゴは『PRISM』の下に、”Visual Communication Service”と一体化して書いてあったんです。

高橋:

前のときね。ステートメントがあった。

新谷:

Visual Communication Service。僕が入った時は、なんかいい感じだなと思ってたんですが段々と時代と合ってないなと思い始めて。もっと柔らかい印象にしないと、ハード屋さん・機材屋さんから脱出できない感じがどうしてもあったんです。

互いの共通点と共感点

高橋:

現場の雰囲気作りみたいなのは新ちゃんすごく上手にやられてるなって思いますね。お互い今はあまり現場にでていないわけだけれど、自由にやっていい風習というか、前段の部分でしっかりとそういう空気を作ってますよね。実際、現場がすごくリラックスする状態じゃないと、新しいものが生まれにくいじゃないですか。凝り固まってしまうので、どう考えても。だからこそそういう雰囲気というか、イマジネーションが大事だよっていう風土は、御社と弊社、近しいところがすごくあるんではないのかなと思ってます。

新谷:

本当に現場って大事ですよね。

高橋:

我々も屋外とかでやるイベントがあるじゃないですか。うちのデザイナーとかプログラマーとか、映像ソフト作ってデータを送れば、コロナ禍では良いっていったことがあるんですけど、自分としてはやっぱり現場に行って、LED見て、輝度見て、色味見て、フレームレート出てるかとか、ちょっとマニアックな話ですけど、やっぱ現場で見ないとわからないことってすごくあって。太陽光がどうなっているか、わからないじゃないですか。結局、うちのデザイナーとプログラマーが一緒に現場に行って、プログラマーがその場でレイヤーを切って調整してましたね。もちろんディレクターもちゃんと赴いてその画に対するアウトプットの保証というか、クオリティの担保みたいなことをすごく大事にしているんですね。

ハードから生まれる創造性、ローカルからの発信

高橋:

ハードから生まれる創造性みたいなことが、なんかないのかな?って思っていて。例えば、建築の部材としてLEDがどんどん使われるようになって、ファサードとして、もしくは照明の一部として建築計画の中であまり広告的にならない映像づくりみたいなことを頼まれることが増えてきたんですけど、やっぱり、色んな人たちと協業しないといけなくてすごく難しいんですね。でも、異業種同士が絡まっていくほど、エンタメの人たちと言語が違うので、難しさを感じたりするけど、すごく面白さを感じたりするんです。そういう社会性を持ってやっていくようなことに興味があるんです。

新谷:

プリズムでお手伝いさせてもらってる『 BAKERU 』※1 とかそうですよね。


※1:東北に古くから伝わる郷土芸能祭りや伝統行事をモチーフにした、WOW.incの体験型の映像インスタレーション作品。『BAKERU』のプロジェクトの一つである『バケルの学校』など、プリズムも協働している。

高橋:

そう。『BAKERU』は、その土地のお祭りとか風土とか土着の脈々とある郷土芸能を、小学校でお面を作ってワークショップをやりながら、各地を回るプロジェクトなんですけど。我々が主体性となることではなくて、その受け手側がどう見て感じるかということ、その地域の方も含めてやるプロジェクトに対してすごく興味があって。
その点、プリズムさんのモンゴルのプロジェクトは興味深いんですよね。あれも結局ドームというハードがあって、その地域でということじゃないですか。

新谷:

まあそうですね。

高橋:

そういうふうに例えると、プリズムさんって早すぎることいっぱいやってる。チャレンジャーですよね(笑)

新谷:

どうですかね(笑)

高橋:

結構その辺はすごく自分的に面白く見ていて、もっとそういったハード目線で感動できることがプリズムの中から生まれるんじゃないかなとすごく思っているんですよね。このドームがありますとか、こういうLEDがありますからみたいな、ファーストタッチは最初はちょっとずれてるけれど、でも時代がどんどん追いついていくみたいな。そう考えてみたらですよ。プリズムさんは結構時代の先端をいく会社なんじゃないですかね。だってモンゴルまで行ってるんですよ実際に。通貨なんでしたっけ?

新谷:

トゥグルグ。(笑)

高橋:

トゥグルグを手にしている男には俺なかなか会ったことがないし(笑)

ハードとソフト、今後のコラボの可能性

新谷:

プリズムは案件を受託してやるのがベースになっているんで、こっちからアプローチする機会ってなかなかないんですよね。ただ、若干チャンスが出てきていて、やらせてもらえることが増えてきているんです。例えば今、北海道でやってる『 カムイルミナ 』も、雪まつりもですけど、プリズムが北海道の会社なので、アイヌ文化とか、北海道に根付いたものをコンテンツにしていきたいなと。道内で発信したり、北海道を発信する機会にしていきたいですね。

高橋:

WOWとしても、プリズムさんのコンテンツのハードを起点としたものと、我々のソフトを起点としたものを、一緒に考えるようなことを次はやってみたいですね。

新谷:

そうですね。それをいうとドームの環境はやっぱり凄く良くて。

高橋:

あれめちゃめちゃ人気あったもんね。どこでもあのドームを見かけた。お台場でも、色んな公園でも見たし。

新谷:

あのジオデシックの構造で映像を全天周やる環境は、僕も最初見たとき感動して、これは凄いいい環境づくりだなと思って。90フィートのおきいやつはモンゴルに持ってっちゃったんですけど、また制作しようかなと思ってます。スケールが良いんですよね。

高橋:

あの骨組みがあまり目立たなくってことは出来ないんですか。

新谷:

今は色塗ったりして変えてはいますけど、ただ内幕構造が消防法上まだできないので、そこをクリアするのを考えなきゃいけないかな。内幕は海外ではやっているけれど日本ではちょっと難しい。

高橋:

なるほど。

新谷:

排煙口とか、スプリンクラーとかいろいろ設置しなきゃいけないから。

高橋:

あ、そうなんだ。

新谷:

あとは仮設じゃなきゃいけないとか。でもちょっとずつ時代と共にやってきたんで、万博とかもありますし、いろんな形に何となくつながっていけばいいかなと思ってますけどね。

エンディング〜プリズムとは

高橋:

今日はありがとうございました。自分にとって、新谷社長、プリズムとは、やはり「 プロフェッショナル 」その一言ですね。プロフェッショナルのチームとして、一緒に引き続き今後もやっていきたいし、そこに期待することはお互い一緒だと思うんですよね。やっぱその信頼関係がしっかりとできている人と、次のステージを作っていきたいなというところが自分の思っているところです。

新谷:

ありがとうございます。

高橋:

このDialogでも新谷さんがどんどん前に出て行くのを期待してますよ。

新谷:

ありがとうございます。プロフェッショナルというお言葉は、本当にプリズム内でも課題ですね。何をもってプロフェッショナルかという定義づけは、みんなそれぞれで悩んでいると思います。でも、これだからプロだよ、プロフェッショナルだよという終着点はないじゃないですか、日々。なので、追いもとめることがプロフェッショナルとなると、チャレンジするしかないですよね。

高橋:

いい感じですね。ぜひモンゴルで、プリズム35周年の記念展を。なんかうまいもの食べて。

新谷:

モンゴルは全部お肉ですよ。スープもお肉、メインもお肉ですからね。

高橋:

ぜひ呼んでいただいて。いつ頃行けるかわかりませんけどね。

新谷:

いつでも行けます。

高橋:

もういけるの(笑)寒いんじゃないですか今。

新谷:

寒くても大丈夫です、みんな外出ないんで(笑)

高橋:

なるほどね。で、そこでぜひ35周年。

新谷:

そうですね、モンゴル、本当に来てくださいね。やりますよ。

高橋:

はい、お願いします。今日はありがとうございました。

新谷:

ありがとうございました。

CONCLUSION

THE FRIEND

WOW inc.
President / Executive Producer

TAKAHASHI HIROSHI

WOW inc.
代表 / エグゼクティブプロデューサー
高橋裕士

HISTORY

1700年代から代々続く刀匠の家庭で伝統工芸や古美術品に囲まれて育つ。1997年に仙台で会社を設立し、2000年に東京、2007年にロンドン、2018年にサンフランシスコへ活動の場を広げる。映像のプロデュース以外にも、ビジュアルブック「WOW Visual Design」、アートブック「WOW10」の発行人を務める。2015年には、マーク・ニューソンデザインによる日本刀「aikuchi」を総合プロデュース。現代における日本の伝統と美の普及にも取り組んでいる。

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