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Top > Dialog > 【前編】リスクをとりながら攻め続ける|高橋裕士 WOW inc.

リスクをとりながら攻め続ける
高橋裕士 WOW inc.【前編】

Dialog No.02

WOW inc.

TAKAHASHI
HIROSHI

WOW inc.
代表 / エグゼクティブプロデューサー
高橋裕士

Prism Co., Ltd.

SHINTANI
NOBUYUKI

株式会社プリズム
代表取締役社長
新谷暢之

OVERVIEW

Dialog第2弾は、プリズムで技術協力させていただいた記念展『WOW 25th Anniversary Exhibition「Unlearning the Visuals」』の開催が記憶に新しい、ビジュアルデザインスタジオ WOW 高橋社長との対談です。

後編はこちら

WOW25周年〜時代に伴う事業の変化

新谷:

こんにちは。新谷です。今回はうちの社を出まして、出張版でやらせていただきます。今回ご一緒していただくのは、ビジュアルデザインスタジオWOWの代表 高橋裕士さんです。よろしくお願いします。

高橋:

お願いします。

新谷:

改めまして、WOWさん25周年ということでおめでとうございます。

高橋:

ありがとうございます。あっという間の25周年。

新谷:

あっという間ですか。

僕はプリズムに入って21年なんですけど、その時と時代がものすごく変わって、当時は映像の機械ってまだスライド全盛期で、プロジェクターは家庭用がようやく出始めて、それレンタルできるの?みたいな時代でした。モニターもブラウン管でしたし、それがこの20年で大きく変わって、プロジェクターは進化してLEDのビジョンが出て、お家もブラウン管じゃ無いものに代わり、スマートフォンとか電話も変わって、そう考えると20年って結構色々ありましたよね。

高橋さんも取り組む事業の中で時代の変化というのを感じる時がありますか?

高橋:

まあ、毎年感じてるんですけど、すごい早いですよね。普通に考えても。今年は結構情報を整理していることもあるのでいろいろとエピソードはあるんですけど、あまりにも長すぎるので割愛します。笑

シンプルに新ちゃんと、”社長と社長トーク”みたいなことなので、自分の会社の軌跡というか、今までの流れみたいなことを系譜としてまとめて、ちょっとお話しながら25年までとその先という感じで話していきましょう。先ずは WOW25周年 ※1 でプリズムさんに手伝ってもらって、素晴らしい展覧会を開催できて感謝です。

※1: WOW 25th Anniversary Exhibition『Unlearning the Visuals』
特設サイト:https://25ex.wow.inc/
Trailer movie:https://vimeo.com/762534729

大切にしているアイデンティティ

高橋:

やっぱり人との出会いというのは大きいですよね。今回も新ちゃんがこうして前に出たくないのに出てきてる感じとかは、すごく微笑ましいなあと思ってるんですよね。

新谷:

あ、本当ですか。笑

高橋:

すごく良い試みだと思う。

25年で、まあ色々ありました。海外進出してからだと思いますが、周年事業をすることで、節目節目で我々が自分たちをどうアップデートできていくのか、俯瞰して見てきましたけど、やはり仲間と出会いながらオリジナルを作り続けているところが、他社との1番の違いなのかなと。

そう考えると周年事業って、社員に向けた内向きな効果がいちばん大きいですよね。自分たちのやっていることがすごく誇らしいことに、軌跡として残って欲しいと思えるようになります。

新谷:

なるほど。プリズムも創業から35年なんですけど、周年事業ってやってないんですよね。やんなきゃいけないですね。

高橋:

やりましょうよ。35周年。こういう機会にまとめて整理することで、自分たちがこういったことを思考していて、こういったものを作れて、素敵だと思ったらご一緒しましょうみたいなお誘いの仕方ができるんですよ。仙台の頃から変わらず、海外の事業にも繋がっています。

新谷:

たしかに大切ですね。

高橋:

プロダクトデザイナーのマーク・ニューソンに、気に入った作品ってありますか?と聞いたことがあって、そうしたら彼は全部気に入ってるって言っていたんですよね。それじゃあインタビューにならないないじゃないかって。まあでも、俺も一緒で全部気に入ってるし全部に思い出があるし、全部に対して熱量を持ってやっているつもりなので、全部素敵な作品だと思っています。それを今はメルマガという形で伝えていて、一つひとつ特別な記録が気づけば200号に達しましたね。

新谷:

一覧を見せていただきましたが圧巻です。経営者として、熱量のコントロールというか、そういうところってどうやってやってるのかなって。

高橋:

社内の「やらなくていいこと」を決めていくことですかね。経営者として制限してあげることがすごい大事。なんでもやっちゃうじゃないですか、みんな。その中でも、自分たちの領域を認識させること。そのためには、経営者層が手をつけない部分と、逆に大事にする部分を示して、リスクをとりながら攻め続けるって感覚はブレてなくやってるつもりですかね。

新谷:

東京に出る前の仙台から、攻め続けてますよね。

高橋:

プリズムさんも地方、札幌があって東京ですよね。

「◯◯屋さん」括りからの脱却

新谷:

うちは結構やってることの幅が広いんですよね。札幌でレンタル事業から始まって、今ではハードウェアのオペレーションだけでなくソフトの部分までやってるので。とはいえ、さらに領域を増やしていきたいですね。

高橋:

それはうちも同じで、最初は「CG屋さん」みたいに「なんとか屋さん」とか言われるじゃないですか。プリズムなら「機材屋さん」「レンタル屋さん」とかね。でも、「◯◯屋さん」って括られないように、オリジナリティを持って人と接していかなきゃいけないと思ってて。

新谷:

わかります。そういうことですよね。

高橋:

まあでもやっぱ、若い時にはいっぱいありました。おたく何屋さん?うちは何とか屋さんとか。わかりやすいですからね。なんとか屋さんって言う屋号じゃないのに。会社名「なんとか屋さん」にしたらいいじゃん(笑)って思ったりするかもしれないけど。でも大事なのはどう呼ばれるかじゃなくて、ちゃんと自分たちの仕事に、会社に、誇りを持てることかなってすごく思ってて。

新谷:

時代もあるのかもしれませんね。物を大量に作り上げていく産業時代ではないので、考えを形にして行くみたいな仕事が多いわけで。自分たちがちゃんと答えを出して届けるためには、信頼できるパートナーと信頼できるスタッフとものを作り上げていくキャパシティを広げないと出来ない部分があって。例えば、機材のトラブルの原因が電源にある場合がけっこうあって、そうなると電源が悪いからと言い訳してるだけでは良いものはできないんですよね。じゃあ電源も自分たちで引こうってなったり。映像だけじゃなくて、音響とか照明も完璧に合わせたいと思ったら、コントロールを一緒にやろうってなって、演出の意見を取り込んで、我々で全部手掛けたい。いわば必然ですよね。

会社のカラー、経営者の役割

高橋:

なんか最近プリズムさん、女性社員多いですよね。あれはすごいですね。

新谷:

すごいんですよ。しかもすごい頑張ってるんですよみんな。

高橋:

女性限定で雇ったとかじゃないんですか?

新谷:

そうでもないんです、たまたまなんですよ。たまたま女性がずっと残ってくれてるっていうのもあります。

高橋:

すごいなー。

新谷:

でもバランス的には全体的に半々ぐらいですね。

高橋:

あ、そうなんですか。

新谷:

うん。男性はちょっと高齢化が進んでるんで。年代がちょっとうわぶってる感じはありますけれども。

高橋:

誰からも頼まれてないけど、これやったら絶対面白いよねっていうことを思いついたんですね。これちょっと聞いてみたくて。なんでもやりたいけど、リスクが多くなるじゃないですか。マネージメント大変じゃないですか?

新谷:

大変ですね…大変です。

高橋:

冗談じゃない顔したね今(笑)

新谷:

冗談じゃない(笑) 大変なんですけど、あくまで僕の発想だと、会社ってグループワークなんですよね。僕はもともと経営者とか社長になるつもりでお仕事をしてきたわけではなくて、もともとプリズムってブランドがあって、代替わりがあって、それを大事に次に受け継いでいかなきゃいけない立場になったんでやってるんです。今の時代の流れかもしれないし、僕の考え方もですけど、リーダーが全部を牽引して導いてくっていう感じじゃない気がしてて。で、その自信も僕にはあんまりないんですよ。だからグループワークだと思ってやってるんです。

高橋:

なるほど。具体的にはどういう風に?

新谷:

僕らはパートナーと上手くやっていくことで成功すると思っていて。いろんな技術とか、出来ないことを助け合ってやっていかなきゃいけないから。そういう中で重要なのは関係性、コミュニティーをどうやって作るかっていうことを大切にしているんですよね。物事を決めるルールとして会社という組織があるわけじゃないですか。それは前提であるんですけれども、人によっては家庭や体の事情でいろいろできないとか、日々色んなそういうドラマがあるわけで。
でも、それがグループワークの中でなら、どうやって前向きに乗り越えていくか方法を考えられる気がするんですよね。なので、毎週全体ミーティングをしたり、毎週個人個人に僕が話を聞いたりとか、人とのコミュニケーションをどうやってつくって物事を決めていくか模索してるんですよ。

高橋:

会社というルール自体が曖昧になりません?

新谷:

おっしゃるとおり、ルールが意外と変わるんですよ、うち。コロコロコロコロ。名刺とか部署とかめっちゃコロコロ変わるんで、名刺代がもったいないとかみんなに言われるんですけど。

高橋:

そんな変えるの。

新谷:

変えるんです。

高橋:

名刺もちゃんと変えるんですか?

新谷:

変えたりもします。

高橋:

マメですね。

新谷:

持ってる人にとったら組織図でこうなってるのに違う名刺っていうのが可哀想じゃないですか。

高橋:

それはわかるけれど。

新谷:

そんなふうに、変化を日々ちょっとずつ作っていくのも重要だと思っていて。固定しちゃうと固定のことしか考えなくなってくるので。

高橋:

なるほどね。

新谷:

僕自身も飽き性なんで、何かひとつのことをずっとやり続けるのができなくて。だから、プリズムの社内体制とかルールとかはみんなと相談して、こうした方がいいんじゃない、ああした方がいいんじゃないって変えて、合わなければちょっとまた戻そうかとか、いろいろやってみながらきた感じですね。
それで面白いのが、全くそういう才能なかったのに、変化に合わせてやってみるとすごい才能を出す子がいたりして。

高橋:

いますよね。

新谷:

うちはもともと自分達で0から1を発想するっていう概念がない会社なんですよ。受託した内容を形にする、現場でアウトプットするっていう仕事がメインだったので、問題がないと答えを出せなかったんですよね。なので、結構受け身の子が多くて、言われればやりますみたいな形になりがちなんですよ。僕もそうなりがちなので、このDialogもそうですが、今は自分たちで何かを生み出すことに取り組んでみようと、実験的なことを沢山やっています。

案件の割り振りによる個々の成長

高橋:

案件の割り振りってどうやってるんですか?

新谷:

それはね、シフトを決めてるんですよ。

高橋:

あーシフトなんだ。

新谷:

シフターなる人がいて、案件を全部まとめて割り当てていくんですけど。

高橋:

個々によって能力っていうかスキルが違うと思うんですけど、それは考慮されるんですか?

新谷:

それはありますね。とはいえ基本はシフトです。

高橋:

なるほどね。うちも案件の幅が広いんですけど、なるべく偏らない仕事の振り方をしていて。シフトではないですね。

新谷:

偏らないというと?

高橋:

案件の種類の話です。ビューティーならビューティーとか、プロダクトならプロダクト、インスタレーションならインスタレーション、ってあるんですけど、偏った人がついてしまうと、すごく分かりやすくいうと、同じ手を使うことになりがちじゃないですか。なるべくそれを封印するために、持ち場を変えていくっていうような。逆に、現場が多様多彩であれば、その人の使える手も増えてくるので。

新谷:

なるほど。

高橋:

そういったマルチの人を育てたいなと思っているんです。それは時代に合ってるかどうかわからないですし、効率化にもつながるのか、どうなのかわからないけど。

新谷:

でもまあ、そうだと思います。うちも部署は一応分かれてるんですよ。設備専門、イベントの技術を専門にやるとか、分けてはいるんですけど、結局繁忙してくると人手がたりないんでみんな交流してやる、みたいな。それで協力シーンが生まれて、社内で色々と揉むことができたりっていう効率化もあるし。なんかいいですよね。僕はいいと思ってます。みんなもそんな感じで思っていると思いますけど。

地方展開とモンゴル

高橋:

プリズムさん、今年は 大阪にも営業所 を出したそうで。

新谷:

札幌・東京と違って倉庫のない営業だけの事務所ですけど。それを言うとWOWさんはすごいですよね。

高橋:

まあ、我々も東京と仙台と海外にあって。海外はプロデューサーにプロジェクト単位でお願いすることが多いんですけど。

新谷:

それならうち、 モンゴル ※2 もあるんですよ。これ脱線しちゃう(笑)

※2:フレーエンターテイメント有限責任会社(プリズムグループ会社)

高橋:

それ(笑)モンゴルって聞いたときに、大丈夫かなと思った。すごい楽しそうにやってたからいいなと思ったけど。あれはどういうことなんでしたっけ。

新谷:

あれはねえ、多分100年ぐらいかかるプロジェクトですね。

高橋:

へえ〜ピラミッドみたいなのつくってるの(笑)

新谷:

いやいやいや(笑)ビジネスにして儲けにもっていくまでにすごい時間かかります。お国柄ですけどね。

高橋:

でも続いてるんですよね?

新谷:

続けてます。

高橋:

どんなことやってるんですか?

新谷:

うちのホワイトロックのドームを持っていって、完全常設化して、イベントの企画から運営まで全部やってるんですよ。スタッフ9人すべて現地メンバーで、映像、音響、照明、テクニカルも全部。

高橋:

興行的にやってるんですか?

新谷:

そうです。興行的にやってます。あとは結婚式。モンゴルの結婚式って昔の日本みたいに親族いっぱい呼んで、200人でパーティーとか多いんですよね。民族音楽やったりとか、ステージを使ってやる風習がまだあるんです。あと企業のセミナーやセレモニーで使ってもらっています。

高橋:

ドーム1つで?

新谷:

3つ立ってるんですよ。いちばん大きな90フィートと、44フィート、36フィートの3つ。レセプションドームとメイン会場ドームとバンケットドーム、みたいな感じで。

高橋:

立地もいいの?

新谷:

ウランバートルのど真ん中なんですよ。ナショナルパークという公園の一部をお借りして。

高橋:

地代は?

新谷:

地代はもちろんお支払いして、借りてやってます。

高橋:

モンゴルの通貨って何?

新谷:

トゥグルグっていう。

高橋:

トゥグルグ?

新谷:

日本の1/20ぐらいですかね換算すると。

高橋:

ドラクエみたいだね。

新谷:

ドラクエ(笑)

高橋:

何年くらいやってるの?

新谷:

えっと、もう6年経つかな?それもたまたまの縁なんですよ。たまたまモンゴルで仕事の機会があって旅行に行って、そこで知り合ったチョカというメンバーが今のモンゴルの代表なんです。

日本でやってる事業をにDVDにしてきてくださいと言われて。とても顔の広い人で、テレビ局や政治の方とかいろんな方にお配りできて。毎年7月11日にナーダムという独立を記念したお祭りがあるんですけど、そのオープニングにプロジェクションマッピングをやってくれと依頼が来たんです。チンギスハーンの銅像がどんと鎮座している「スフマート広場」という国会議事堂の前で。

最初聞いたら日本円でだいたい200万ぐらいでやってくれって言われたんですけど、200万はさすがにきついと。持っていかなきゃいけない機材もあるし。そしたら政府の方からもっとお金が出ますということで、ある程度行って来いできるぐらいの費用がでたんで、これはご縁だしやっときますかと。スタッフも機材も全部送り込んで、オープニング映像はモンゴルのCG制作会社と一緒に作って、結局10万人以上の来場者に見てもらいました。

高橋:

そんなに来るの。

新谷:

そうなんですよ。その人たちがみんな携帯で撮ってくれて。見て感動して、これは素晴らしいと反響も大きかったみたいで、

文化庁みたいなところから、こういう事業を日本から来てやってくれるんであれば、会社を興してやってほしいとリクエストがあって。それでチョカと会社作ろう、と。

高橋:

それじゃ、別会社になっているのをコントロールされているんですね。

新谷:

そうですね。最初は全部日本から資材を送り込み、プリズムのスタッフも30人ぐらい行って全部作り上げて。ただコントロールする技術とかはないので若手の子たちを教育したんです。

高橋:

現地で?

新谷:

それが面白くて、モンゴルの冬は−30とか40℃になるんですよ。だからまともに稼働できなくて(笑)それで冬の時期は日本に呼んで研修してるんです。日本でプリズムのメンバーと現場回って技術勉強を2年やっていて。今ではバリバリやってますね。今年もまた呼ぶつもりですけど。

高橋:

面白い(笑)それで収益的にはうまくいきそうなんですか?

新谷:

なかなか時間がかかりますけど、はい。まだ遠い計画ですが(笑)

CONCLUSION

前半はここまでです。
後半は引き続き高橋さんとお互いの共通点や今後の展望について語ります。

後編はこちら

THE FRIEND

WOW inc.
President / Executive Producer

TAKAHASHI HIROSHI

WOW inc.
代表 / エグゼクティブプロデューサー
高橋裕士

HISTORY

1700年代から代々続く刀匠の家庭で伝統工芸や古美術品に囲まれて育つ。1997年に仙台で会社を設立し、2000年に東京、2007年にロンドン、2018年にサンフランシスコへ活動の場を広げる。映像のプロデュース以外にも、ビジュアルブック「WOW Visual Design」、アートブック「WOW10」の発行人を務める。2015年には、マーク・ニューソンデザインによる日本刀「aikuchi」を総合プロデュース。現代における日本の伝統と美の普及にも取り組んでいる。

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